このアプリについて
杭・直接基礎の支持層の直下に N 値の低い軟弱層がある場合に、その影響を確認するためのツールです。
計算式の根拠は 日本建築学会『建築基礎構造設計指針』(2019年版) です。
検討種別を「直接基礎・地盤改良体」と「杭先端直下」から選び、1 検討=1 ファイルで扱います。
使い方(基本の流れ)
- 上の検討種別を選択します。
- 左の入力諸元を入力すると、右に結果(判定・検定比・力学モデル図)が即時更新されます。
- 「🖨 計算書出力」で A4 計算書(省略モード)をブラウザ印刷・PDF 保存できます。
- 入力一式は「💾 保存」で JSON に保存、「📂 開く」で読み込めます。
入力のポイント
- 長さ・深さは m、杭径は mm、荷重度は kN/m²、荷重は kN です。
- φ・c は N 値からの推定値を既定で用います。チェックを外すと直接入力できます。
- 荷重分散勾配「1 : m」は、深さ m に対して水平 1(片側 1/m)の割合で拡がることを表します。既定 1:2。
- 表示桁数: 長さ・深さ [m] と tanθ・Nc は小数 2 位、φ・γ・c・分散勾配 m・荷重度/支持力度 [kN/m²] は小数 1 位、杭径 [mm]・荷重 [kN] は整数、検定比は小数 2 位で表示します。入力値がこれより細かい場合は丸めずにそのまま表示します(判定は丸める前の値で行います)。
(1) 全体フロー
【直接基礎・地盤改良体】上部砂質土層の極限支持力度 $q_{u1}$ と、下部粘性土層で決まる極限支持力度
$q_{u2}$ を求め、小さい方を極限支持力度 $q_u$ とする。許容支持力度
$q_a$ と基礎底面荷重度 $p$ を比較する。
【杭先端直下】杭先端からの荷重分散により、下部弱層位置での支持力(N 値×面積)が上部支持層を
下回らないことを倍率で確認する。
(2) 直接基礎・地盤改良体の計算式
上部砂質土層(基礎底面)の極限支持力度(粘着力項なし):
$$ q_{u1} = \beta\,\gamma\,B\,\eta\,N_\gamma + \gamma\,D_f\,N_q $$
[基礎指針 4.2 直接基礎の極限鉛直支持力度/寸法効果 $\eta=(B/B_0)^{-1/3}$, $B_0=1\,\mathrm{m}$]
下部粘性土層の支持力で決まる基礎底面の極限支持力度(荷重を 1:m で分散):
$$ q_{u2} = \dfrac{(B+\Delta)(L+\Delta)}{B\,L}\,\bigl(5.14\,\alpha\,c\bigr) + \gamma\,D_f
\quad\left(\Delta=\dfrac{2H_s}{m}\right) $$
[基礎指針 直接基礎の支持力(二層地盤・荷重分散法)。粘性土は $N_c=5.14$(φ=0)]
$$ q_u = \min(q_{u1},\,q_{u2}) \qquad
q_a = \tfrac{1}{3}q_u\ (\text{長期}),\quad \tfrac{2}{3}q_u\ (\text{短期}) $$
判定: 検定比 $\eta = p / q_a < 1.0$ で OK($q_a \ge p$)。
(3) 形状係数・支持力係数
形状係数(基礎底面の形状):
$$ \text{長方形}:\ \alpha=1.0+0.2\tfrac{B}{L},\ \beta=0.5-0.2\tfrac{B}{L}
\qquad \text{正方形・円形}:\ \alpha=1.2,\ \beta=0.3 $$
[基礎指針 形状係数表。$q_{u1}$ の $\beta$ は基礎寸法 B,L、$q_{u2}$ の $\alpha$ は分散後寸法 (B+Δ),(L+Δ) で評価]
支持力係数 $N_q,\ N_\gamma$ は内部摩擦角 φ から次式(Prandtl/Meyerhof)で算定する(建築基礎構造設計指針の支持力係数に一致。φ は 40° で頭打ち)。
$$ N_q = e^{\pi\tan\varphi}\,\tan^2\!\Bigl(45^\circ+\tfrac{\varphi}{2}\Bigr),\qquad
N_\gamma = (N_q-1)\tan(1.4\varphi) $$
下表は上式による代表値(建築基礎構造設計指針の支持力係数表)。
| φ [°] | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 28 | 32 | 36 | 40↑ |
| Nγ | 0.0 | 0.1 | 0.4 | 1.1 | 2.9 | 6.8 | 11.2 | 22.0 | 44.4 | 93.7 |
| Nq | 1.0 | 1.6 | 2.5 | 3.9 | 6.4 | 10.7 | 14.7 | 23.2 | 37.8 | 64.2 |
(4) 杭先端直下の計算式(薄層支持の先端支持力)
杭の支持層厚が薄い場合、支持層で決まる支持力度 $q_{p1}$ と、下層粘性土層で決まる支持力度
$q_{p2}$ を比較し、$q_{p1} \le q_{p2}$ を確認する。翼部底面積と支持層支持力度:
$$ A'_p = \dfrac{\pi D_w^2}{4},\qquad q_{p1} = \dfrac{R_u}{A'_p} $$
下層粘性土層で決まる支持力度(荷重分散 $\tan\theta$、層厚 $H$):
$$ q_{p2} = \left(1 + 2\,\dfrac{H}{D_w}\tan\theta\right)^2 q_c,\qquad q_c = N_c\,c_u\ \ (N_c=6) $$
[基礎指針 杭先端支持力(薄層支持)。下層は安全側に粘性土として $q_c=6c_u$ で評価]
判定: $\eta = q_{p1}/q_{p2} < 1.0$ で OK($q_{p1} \le q_{p2}$)。
(5) N 値からの推定式
- 砂質土の内部摩擦角: $\varphi = 15 + \sqrt{20N}$(上限 40°)
- 粘性土の粘着力: $q_u = 12.5\,N\ [\mathrm{kN/m^2}]$、$c = q_u/2 = 6.25\,N$
(6) 適用範囲・注意事項
- 上部=砂質土(支持層)、下部=粘性土(軟弱層)の二層地盤を対象とする。地下水位は考慮していない(必要時は γ を水中重量で入力)。
- 荷重分散法は簡易法であり、層厚・分散角・支持力係数の取り方に幅がある。最終判断は設計者が行うこと。
- 計算式の根拠は建築基礎構造設計指針(2019年版)による。
(参考文献)
- 日本建築学会『建築基礎構造設計指針』2019 年版, 4.2 直接基礎の鉛直支持力・杭の支持力.